
浴室のタイル目地や排水まわりでよく見かける白い汚れ、それは「エフロレッセンス(白華現象)」かもしれません。これはタイルやモルタルに含まれる可溶性カルシウム化合物が、水分と共に表面に移動して再結晶化した現象です。放置すると排水不良やタイル剥離の原因となる恐れがあり、専門知識と技術を持つ清掃業者による対応が不可欠です。
本コラムでは、エフロの発生メカニズムから、素材別対応について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
エフロの正体とは?清掃現場での発生メカニズム
エフロとは、水分と共に移動したカルシウムやナトリウムなどの可溶性塩類が、乾燥に伴って表面に析出した白い粉状・結晶状の汚れのことを指します。モルタルやセメントの隙間から水が染み出し、可溶性塩類が移動して空気中の二酸化炭素と反応すると炭酸カルシウムなどが析出します。
浴室環境では、常に高湿度が保たれるため、特にエフロが発生しやすく、床の角や排水周り、壁の目地などで白い結晶が確認されることが多く見られます。放置すると、内部への水分侵入を招き、排水不良やタイルの剥離・剥落につながる恐れがあります。
材質ごとの注意点と最適な除去アプローチ
浴室にはタイル・モルタル・人工大理石・天然石などさまざまな素材が使われていますが、それぞれに適したエフロ除去法が異なります。
磁器タイル+モルタル目地
磁器タイルは耐酸性が高いため、エフロ除去には塩酸系などの酸性洗剤が使用可能です。ただし、目地に使われるモルタルは酸に弱く、放置時間や濃度設定を誤ると目地の劣化を招く場合があります。そのため、使用前に壁面上部または背面パネルなど目立たない箇所で反応テストを行い、変色や劣化の有無を確認することが現場の安全策として非常に重要です。
人工大理石(浴槽・洗面器材など)
人工大理石は塩素系・酸性剤に弱く、中性洗剤とポリッシングパッドによる物理除去が基本です。軽度のエフロであれば、中性洗剤を塗布して一定時間放置し、細かいパッドで丁寧に磨くだけでも効果が得られ、素材への負荷も少なく済みます。
天然石(御影石・大理石など)
御影石は一部酸性剤に耐性があるとされますが、含有鉱物によっては酸により光沢や色調が損なわれる場合があるため、酸剤使用は慎重に判断し、必ず反応テストを実施すべきです。大理石はさらに酸への耐性が低く、酸剤は原則使用不可。パッド研磨+石材専用中性剤による対応が推奨されます。
素材と汚れに応じて選ぶ、浴室エフロ対策の洗剤3選
文化雑巾【ビビアン】
強力除去×安心処方
温泉浴場に付着する27種類のスケールをスピーディに分解する、プロ仕様のエフロ・スケール除去洗剤です。低刺激・低臭気設計なので作業者にも優しく、蒸気の多い環境でも安心。さらに木製浴槽に生える青藻や黒ずみ、アク汚れへの対応・殺菌効果も備えています。ただし、酸性処方のため敷居材や接着力の弱いタイル、鏡面石材などでは素材を傷める恐れがあるため、事前テストや目立たない場所での確認をおすすめします。

《対応汚れ》
スケール、エフロ、青藻、黒ずみ、アク
《対応素材》
タイル、目地、木製浴槽
ビビアンがエフロを分解する様子を、動画でご紹介します。
スマート【ハイパーアシッド】
短時間で徹底洗浄
有機酸+硝酸の強力カルシウム分解力で、トイレの尿石、浴室スケール・エフロに短時間で効果を発揮。刺激臭や有毒ガスが出ず、安全性に配慮された酸性洗剤です。メッキパイプ部やステンレスなど金属部分の尿石にも対応し、作業の効率化と安全確保を両立できます。

《対応汚れ》
尿石、スケール、エフロ
《対応素材》
ステンレス、メッキパイプ、陶器
横浜油脂工業【スケールシェーブ】
浸透×膨潤で根こそぎ
植物由来の酸性成分をベースに、高い浸透力と膨潤作用で厚くこびりついた湯垢や白華(エフロ)を分解。フッ酸不使用の環境配慮型で、アルミ製サッシやドアなどデリケート素材にも安心です。鏡面石材には使用せず、使用前に目立たない場所で確認をおすすめします。

《対応汚れ》
スケール(湯あか)、エフロ、白華
《対応素材》
アルミ、アルミサッシ、ドア(※条件付き)